「関西からドコモを変える」――永田支社長に聞く、ドコモ関西の防災対策とウチスマの挑戦 (ITmedia Mobile) – Yahoo!ニュース

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 1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災から21年。携帯電話を取り巻く環境は大きく変わり、当時にはなかったスマートフォンを多くの人々が使うようになっている。
【中ゾーン基地局に設置された燃料電池装置】
 今回、ITジャーナリストの神尾寿氏がNTTドコモ関西支社長の永田清人氏に単独インタビュー。南海トラフ地震に備えた防災への取り組みや、大きなイベントでの電波問題の改善、ドコモショップの新しいトータル提案型サービス「ウチスマ」など、ドコモ関西のさまざまな取り組みについて話を聞いた。
●関西在住者は南海トラフ地震に敏感
――(聞き手:神尾寿) 関西の方々は南海トラフ地震に関する関心度は高いですか。
永田清人氏(以下、永田氏) 私は31年横浜に住んでいましたから、「地震は頭の中に入っている」程度ですが、関西在住者はより真剣に考えていますね。「海側にある設備は大丈夫か」「ハザードマップで最大値の津波が来た時に設備的に大丈夫か」など、地震は一番の関心事です。私でもそう思っていますので、関西の方は特に見られていると思います。
 また、阪神・淡路大震災から2015年で20年がたちました。ちょうど南海トラフ地震対策を言い出した頃、ローカルのテレビ局や新聞で震災20年の特集が組まれ、われわれの取り組みも取り上げられるようになりました。タイミング的にも阪神地区は防災意識が高まっているのではないでしょうか。マスコミの方も関心を持っていただいていると思いますので、関西では全国で発表する前から防災対策を声高にやっています。
―― 南海トラフ地震対策を体系立ててやったのは、結構最近のことですよね。
長田氏 和歌山での対策は、2014年10月に冬商品の発表会で発表しました。関西全域は3月までに全部やりますと宣言しています。ネットワークの人には申し訳ないですが、「締め切りまでにやります」とはっきり言うようにしています。
―― これまで震災を数多く経験して、いろいろなノウハウを蓄積していると思うのですが、関西での取り組みにおいてドコモならではのスタンスや特徴はありますか。
永田氏 大ゾーン基地局は、東日本大震災の後に最初に出てきた案件の1つです。東日本大震災では、津波で何がダメになるのかが相当強烈に分かりました。通信の命である基地局が全部なくなり、伝送路と電力線が切られてしまう。和歌山はまさしく電力線も通信線も海沿いの道に張っていますから、津波が来たら絶対に切れてしまいます。
―― 中ゾーン基地局は燃料電池を入れて電力を確保しつつ、山の中にマイクロ波の中継局を置いています。マイクロ波のネットワーク地図を見せてもらいましたが、そのカバー範囲が思いのほか広いのに驚きました。沿岸部の基地局を個別にカバーするのではなく、(沿岸部を)ぐるりと囲むようにマイクロ波のバックボーンが用意されている。固定網の伝送路が丸ごと喪失しても、ネットワークが作れるような配置になっています。
永田氏 だから全部線が切れても一応ネットワークは使えるということです。和歌山のゾーン対策はみんな頑張ってくれたと思いますよ。
―― また電力喪失対策にしても、中ゾーン基地局であれだけの燃料電池をきちんと設置・運用していると知り驚きました。基地局への燃料電池への導入規模は、世界的に見ても類を見ないものだと思います。
永田氏 確かに燃料電池にこれほど力を入れているキャリアは、他にはないと思います(笑)。市役所などの重要な行政施設にある基地局ならば24時間のバッテリーで対応可能ですが、中ゾーン基地局の設置場所は災害時にすぐに行ける場所ばかりではありませんからね。実際、南海トラフ地震で和歌山の沿岸地域が被災した場合は、津波により人がすぐに行けない可能性があります。東日本大震災のケースではおおよそ3日で被災地の基地局に復旧部隊が派遣できていたため、中ゾーン基地局では電源を3日持たせることを前提にして燃料電池を採用しました。新しい技術なので初期トラブルもありましたが、今は安定していますし、チャレンジさせてもらっていると思います。
―― 一方、大ゾーン基地局は人口密集地をきちんとカバーする形になっています。実際に上ってみて、その高さに驚きました(笑)
永田氏 そうですね。大ゾーン基地局は、大震災などに際して、可能な限り迅速に人口密集地の通信を広域で確保するためのものです。ですから、(広域をカバーするために)通常の基地局では考えられないほど高い場所に通信設備を置いていますし、平時では全く使用していません。まさに「災害時など非常時のためだけの設備」です。しかし、人口の多い大都市を守るためには絶対に必要なものです。
●どうプロモーションするか、を前提に高速インフラを整備
―― 災害対策が日本のキャリアとして最重要の取り組みである一方で、通信インフラはキャリア間の競争領域でもあります。とりわけスマートフォン時代になって、エリアの広さだけでなく、通信品質も求められるようになりました。このインフラ競争の争点は、地域差がかなりある部分でもあるのですが、永田さんから見て、関西の地域特性はどのようなものでしょうか。
永田氏 関西は人口密集地が京都・大阪・神戸で、湾に面したところが多く、(エリア整備が)やりやすいといえばやりやすいですね。しかし、これは競争相手も同じですから、単純なエリアのカバー範囲という点では、キャリア間の差がつきにくいという面もあります。
―― 人が集まるということは、密集地域でどれだけトラフィックがさばけるかが競争軸になると思います。
永田氏 そこは力を入れています。ローカルな場所はわれわれはもともと強いので、当然強みを生かしてやっていきます。あとは、実感しやすさというか、分かりやすさが大事ですね。特に最初のインパクトは重要で、150Mbpsが京阪神でいち早く使えるようにした。ドコモ関西はネットワークがいいよ、と印象づけました。
―― 人口密集地ならではのトラフィック対策が必要になると。
永田氏 東京の方がスケールは大きいですが、方法論としては同じです。われわれの方がある程度エリアも組織もコンパクトだから、早く形にして見せやすいと思います。
―― 早く形にして見せやすいゆえに、ライバルとの競争にもなりがちですよね。
永田氏 2年半前に来た時は、ソフトバンクがCMでナンバー1を強調していた時でした。確かにドコモは第三者の評価ではお客さまには実感ができない状態で、「平均的に速い」という状況だったんです。その状態をひっくり返すには、ショップにポスターで貼れるようなものを早く作らなければいけませんでした。
―― 最近はイベントに災害対策用の移動基地局を使う活動もされていますね。
永田氏 可搬型移動基地局(P-BTS)は災害時だけでなくイベント対策でも使っています。当然、防災の取り組みはやっていますが、それだけではもったいないですから。関西では祇園祭や天神祭など、巨大な祭りがあります。
 僕が来た2年半前、規制ばかりかけてユーザーからは「つながらない」と言われており、「なんとかしろ」とは言っていました。そこで「P-BTSを出せばいい」と提案すると、(社内から)「焼け石に水ですよ」と笑われましたよ(笑)。
 その頃はまだ150Mbps(の通信サービス)が始まっておらず、最新の基地局設備もポツポツと分散していた。ある程度地域をまとめて高速化対応させる「ゾーン化」ができていませんでした。しかし、それでは一生懸命やっていても、プロモーションができずユーザーに価値が伝わりません。そのため、まず環状線全域とUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)で150Mbpsをカバーしました。さらにイベントも人が集まるところですので、周辺基地局の能力を上げた上で、移動基地局も出しました。2015年の大きいイベントでは、ほぼ輻輳(ふくそう)の問題は解決しています。
 ちなみにそういったイベント後のネットの書き込みでは、ドコモの評判を気にしますよ(笑)。褒めていただけることもあるのですが、「つながらない」「他社の方がいい」とお叱りを受けることもある。厳しい言葉にめげそうになりますが、そういったお客さまの声には真摯(しんし)に向き合っていかなければなりません。
―― SNSや掲示板への書き込みにまで目を通すというのは、なかなか大変ですね。しかし、ドコモはユーザー数が多いですから、批判の声が出るのはある意味で仕方がないのでは?
永田氏 「ドコモはユーザー数が多いから遅くてしょうがない」とも言われますが、それに甘えてはいけません。それを言い訳にしてはなりません。それに関西は、東京に比べればドコモのシェアが低いです。ただ他社に比べて、契約者数に対して割り当てられている周波数が少ないのは事実です。
―― 確かにドコモは割り当てされた周波数あたりの契約者数が多く、他社よりも不利な状況にありますね。
永田氏 しかし、それを言い訳にしたり、嘆いたりしていてもはじまりません。知恵を絞り、努力をし、販売の現場できちんと競争力のある数字(実効通信速度)で勝負できるようにしなければならない。お客さまに満足していただくにはどうすればいいか、を考えなければなりません。
●関西発のウチスマの取り組み――「関西からドコモが変わる」
―― ドコモショップでのトータル提案「ウチスマ」を始められたのはどのような考え方からでしょうか。ドコモショップの運営はかなりしっかりしたマニュアルとレギュレーションが決まっている中で、今回はドコモ関西発という点がユニークだと思いました。
永田氏 ドコモ関西では2年前から、「世の中で言われている“無理付け”はやめましょう」と言っています。当初はお客さまに簡単なアンケートを取って、ご興味のあるものからライフスタイルをストーリー立ててご提案していました。
―― いくらドコモ直営サービスだといっても、一方的な「レ点営業(契約時の項目にレ点チェックを入れて契約させる営業方法)」みたいなことはやめよう、と。
永田氏 ショップはかなり苦しかったと思います。その後「ドコモ光」や新料金プランが始まったのですが、ドコモ光に加入してもどう使ったらいいかが見えない。ショップスタッフはモバイルには詳しいですが、光とテレビの関係性すら分からなかったんです。社員も同じでした。
 ですから最初は、ネットワークの部隊がドコモ関西の地下1階に光などのサービスを理解するための模擬的な部屋を作り、イベント会場やショップのイベントに持ちだして、自分たちでサービスの紹介をやっていました。それをもっとショップの普段の営業の中でもやっていきたいというのが今回の「ウチスマ」です。ドコモショップにショールームを作りましょうという考えではありません。
―― 以前ドコモで運営されていた「スマートフォンラウンジ」とは違うということですか。
永田氏 全く違います。「どんな場所を作ればお客さまにサービスを理解してもらえ、早く話に入っていただけるか」「光とタブレットを体感してもらい、できれば契約してしていただきたい」というための場所なので、実際の接客で使えないならやめてしまえばいい。
 とはいえ、始めた以上はやめる気はありません。成功するように試行錯誤して、使える形に変えていきます。ですからウチスマのフロア数をいっぺんに増やすということはしません。店舗の立地によって求められる内容も変わるはずですし、関心があるものも違う。何店舗かで導入しながら、まずは普段の営業でどう使えるか、これからドコモショップでどうなるか、実地で試していきます。
―― ドコモショップが今後どうなるかは大きな課題ですよね。
永田氏 頭で考えられることを、具体的にやってみようと。今は家庭のリビングルームをイメージしながら、利用シーンを提案しています。次のフェーズは、何も分からないおばあさんがやってきて、「じゃあこれとこれが欲しい」と言われたら、1つのパッケージとして売れるようにする。まずはドコモショップと連携しながら、できることに1つずつ挑戦していきます。
―― 単純にドコモにあるサービスを広げて売るだけじゃないと。
永田氏 その先の可能性の場所を作りたいですよね。だから「+d(プラスディー)」で誰かと組む時にも、本当に全国のショップで提案営業ができる場所があったとしたら、すごく魅力的に映ると思います。
―― 逆にショップ側からこういうサービスがあると売りやすくなるというフィードバックもありますか。
永田氏 ルールは支社で決めている部分もありますが、ショップの人達がどういう運用をしていくか、これから意見も出てくると思いますね。ドコモ関西として先行的に導入しているので、そこでノウハウをためていきます。
―― ドコモ関西発のトライアルになっているわけですね。そういえば、ドコモショップの来客予約システムも、ドコモ関西発の試みで、その後全国に広がりました。
永田氏 関西に来た時にも思ったのですが、市場がちょうどいいサイズなんですよ。小さすぎると実証実験の効果測定ができないですし、大きすぎると全体の仕切りが大変なうえ初期投資も相当かかります。関西でトライするのはネットワークも同じで、新しい試みがあったら「なんで関西で(真っ先に)やらないんだ!」というくらいにしていきたいです。
 こちらに来て私がずっと言っているのは、「関西からドコモは変わる、ドコモを変える」。自分たちが変われば、うまくいったモデルだけがコピーされ、ドコモ全体を変えることができる。ウチスマは自分たちから変えていく最新の取り組みといえます。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160205-00000012-zdn_m-sci


元記事はこちら>>http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160205-00000012-zdn_m-sci

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